漫画「血の轍」13巻の感想
漫画「血の轍」13巻を読んだので感想を書きます。ネタバレも含むので気にされる方はご注意ください。
漫画「血の轍」13巻の感想ですが、地味だけれど凹むというのが真っ先に思ったところです。
いわゆる毒親をもつ主人のことを幼少期から描いてきた「血の轍」ですが、13巻では主人公も30代になっており、自身の過去とも折り合いを付け、孤独ではあるけれど、平穏に生きている、みたいな描写が13巻の導入部分になります。
ここまででもかなり地味というかいぶし銀な話になりそうな予感が漂ってます。
1巻から12巻までの主人公の人生が壮絶であっただけに主人公が平和に生きているというだけで安堵感があります。とはいえ読者が主人公の生活を覗いてるということは、このまま平和では終わらないのが目に見えているので平和に生きている主人公をみて先ず凹みます。
で、中年男性の平和な日常を1巻分まるまる描くわけもなく、案の定、父親からの連絡を機に物語は動き始めます。
実家を出て東京で独り暮らしをしている主人公のもとを訪ねてくる父親、何気ない会話をし父と子で始めて居酒屋で盃を交わしたり、平和な描写が続くのですが、ところどころ母親の不穏な影がちらつきます。
ここまでで親との縁は簡単に切れるものではなく、まるで呪いみたいだなと思わされました。ポジティブに変換すれば絆なのかも知れません。
まあ、そんな父親との一時の団欒を経て日常へと戻る主人公ですが、脳裏を過ぎった母親の影は消えずに付き纏います。冒頭では過去と折り合いを付けて平和に生活していたのに…、と思うとまた凹めてきます。
更に追い打ちを掛ける様に父親が倒れたとの連絡があり病院に駆け付ける主人公。そこには一命を取り留め意識を取り戻した父親の姿があり安堵するのですが、主人公が家に帰ると深夜に様態が悪化しそのまま…、というなんとも救いのないことが起こります。シンプルに凹みます。
ここからは父親が亡くなったことによる手続きなどを戸惑いながらもこなしていく主人公が淡々と描かれるのですが、ここも中々にいぶし銀な展開だなと思います。そして、ただ凹みます。
遺品整理のために父の自宅を訪ねる主人公。そこで父が主人公の為に貯めてくれていた預金と遺書を発見します。なんとも考え深い…。
そして、遺書の中に母親の所在が書かれていたのですが、主人公は、その箇所だけ切り取って燃やしてしまいます。
ここは人によって感想が別れるポイントだと思うのですが、僕は主人公のこの行動を賢明だと感じます。きっと人によっては、過去はいくら逃げても塗りつぶしても切り取って燃やしてもなくならない。本当の意味で自由になるには向き合うしかないと思うのではないかなと思います。他にも様々な見方が出来るでしょうね。自分はこう感じたとか、なんかあればコメントして頂けると嬉しいです。
そんなわけで、なんやかしあり、故郷のお寺までお骨をおさめにいくのですが、墓地で女性の影が…。一瞬、母親かってなるのですが、そこにあったのはなんと吹石の姿でした。
吹石も成長しており、小さい女の子を連れているので恐らく娘でしょう。お盆時期に娘と2人でお墓参りとは、未亡人フラグが凄い。ここから物語はどこへ向かうのかってところで13巻は終わります。14巻をはやく発売してくれ。
そんなわけで今回は漫画「血の轍」13巻の感想でした。